グレーゾーン金利再考


インフレターゲットの議論と直接関係するのか分からないが、ネット上でリフレ派として有名なbewaad氏他による、グレーゾーン金利の撤廃に批判的なエントリを発見。


http://bewaad.com/20060818.html#p02


ああ、やはり俺はアフォなのか・・・。
理由は、融資審査基準の厳格化による貸し剥しや貸し渋りを呼び、貧困層をより苦しめる結果となるリスクが高い、ということだろうか。消費者金融側としては、金利低下による収益悪化により、貸し倒れリスクを担保しきれなくなるのを見越して、融資審査を厳しくせざるを得ず、その結果として今までなら消費者金融から借金できた人が、闇金などでのさらに劣悪な金利での借金を迫られることになる、というのを懸念しておられる様子。グレーゾーン金利は褒められたものではないが、通常の金融機関からの融資を受けられない人々が、直ちに非合法な金融機関の暴利にさらされないための社会的なクッションとして働いており、現状での撤廃は社会格差を拡大するだけ・・・。


たしかにこの点は、部屋のブラックホールに吸い込まれて見当たらないので記憶になるが、『下流喰い』でも、既得権益を守りたい消費者金融業界のあつかましい脅迫的居直りとして批判されるにとどまり(俺もそのとおりだと内心で怒号していた)、『金利を下げても大丈夫』という論証はされていなかったように思う。たしか、良心的な庶民金融の例を挙げて、消費者金融もそれに習うべきだ、と言うに留まっていた。貸さない勇気、という、信金のカリスマ的人物の発言を挙げていたが、それでも借りたいんだ、貸してくれるのなら、金利130%でも闇金に比べたら全然OKだよ、という借り手は、資金を調達する機会を奪われることになる。

それに加えて、民間金融機関の貸し出し金利の上限を設定するなんてのは、政府の仕事ではない、という「そもそも論」もあるようだ。


考えてみると、グレーゾーン金利撤廃に対する批判は、構造改革に対するリフレ論と同じ構造をしているのか。余計なことをして社会を悪化させるより、景気回復をせよ、と。貧困層をより苦しめるリスクが否定できないグレーゾーン金利撤廃を叫ぶより、景気回復を通じて、雇用の拡大と収入の安定・増加を目指すべきだ、ということか。マイルドインフレになれば、借金もより軽くなるんだよなあ。


感情的にはまだ受け入れがたいところがあるのだが・・・。考えてみる必要がありそうだ。