ヤングサンデー最新号を久々に買い、噂の高橋留美子『1ポンドの福音』最終回を読む。15年強越しの完結であり、再開していたことすら知らなかった。驚いたのが、ベールを脱いだシスターの絵がとても可愛らしいこと。『らんま』中盤から絵に魅力を感じなくなり、『犬夜叉』に至っては読んでいないので。
以前、椎名高志が高橋留美子について、「昔も今もかわいい女の子を描き続けているのがすごい」というようなことを言っていて、すごいと思う基準がさすがプロの同業者だな、と思った覚えがある。漫画家がキャリアを積むと、話作りはともかく、女の子のかわいさという点では、枯れてしまうことが圧倒的に多い気がするので。洗練されて小奇麗にはなっても、『このペン先に俺の女神を降臨させるのだ!』という情念が失われている気がするのだ。失礼ながら、椎名高志もそうだし、萩尾望都*1、竹宮恵子*2、藤島康介*3などなど、「枯れた」にカテゴライズしている(いた)漫画家は数え切れない。あだち充も(略)。藤田和日郎は・・・情念は強化されているようなのに、女の子は怖くなるばかりという・・・。そもそも、青少年少女の目を釘付けにするような可愛くかつ少しだけエロティックな絵を延々描き続けるというのは、おそらくものすごく難しい。
高橋留美子についても、人生で初めて連載まんがと現実の比重が逆転しかけた『らんま』初期から、さかのぼって『うる星』&『めぞん』後期だと思っており、椎名の発言についてはちょっとヨイショかなと失礼な印象を持った。そんな俺がごめんなさい椎名先生と謝りたくなるくらい、最終回のシスターは可愛かった。
現時点での最新刊である3巻。10年前・・・。4巻が出せる分量があるのだろうか。不安。
1ポンドの福音 (Vol.3) (ヤングサンデーコミックス)
- 作者: 高橋留美子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1996/07/01
- メディア: コミック
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また、長年放擲していたところの藤島康介『ああっ女神さまっ』も、ここ数年分を読み返す機会があり、もしや初期以上のピークを迎えているのか、と考えを改めている。ヒロインのベルダンディーが初期のような、青年期のリビドーを刺激する身近な可愛らしさを持たないのは、見切りをつけたときと変わらない。しかし、現在の圧倒的な画力で始めて描けているものなのだろう、よく分からない神々しい愛らしさに目を奪われるのだ。伊達に長期連載し、何度もアニメ化されているわけではないのだなと痛感。すごい。
思い出深いMy神の7巻と、最近のではもっとも華やかな表紙の27巻。あまり最近ではないが。
- 作者: 藤島康介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/10/20
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- 作者: 藤島康介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/11/20
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椎名高志も、連載中の『絶対可憐チルドレン』では、女の子の可愛さが復活していると思う。妙なセクシュアリティを押さえ抑えつつかわいい主人公の小学生たちの描き方は好感が持てるし、なによりサブの高校生〜成人女性たちが実によい。かく言う俺は絵だけで言えば大ヒットした『美神』より『椎名百貨店』派である。
- 作者: 椎名高志
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/12/16
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こうした意味で稀有な例外だと思うのが、漫画家休業中の川原由美子。長いキャリアを経ながら、『観用少女』の連載が中断するまで、絵が可憐さを増し続けていた。今月と来月に出る『観用少女』完全版に収録される、これまで単行本未収録だった連載末期作品は、話はともかく絵はすごかったぞ。『観用少女』単行本表紙なら、4巻と迷うが3巻。で、書下ろしと思しき『観用少女』完全版1巻の表紙も、ブランクを感じさせない美しさであり、漫画描いてよ・・・。
観用少女(プランツ・ドール) (3) (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
- 作者: 川原由美子
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
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- 作者: 川原由美子
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 2006/12/15
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ちなみに、連載漫画が人生一番の楽しみになった二度目は上記の『女神さまっ』7巻前後。三度目は極めて短期間だが『魔方陣グルグル』初期、四度目は冬目景『羊のうた』初期〜中盤。全てファンタジーか恋愛ものであるあたり、俺は不憫な人なのかも知れぬ。というか寝たほうがいいような。幸か不幸か年をとったせいなのか、五度目は今だ訪れない。『ローゼンメイデン』で盛り上がりかけたがちとチルアウト中。
それでも美しすぎる『ローゼンメイデン』最新刊の表紙。
- 作者: PEACH-PIT
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『グルグル』は2巻から4巻あたりまでが、何もかも神でした。
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『羊のうた』ならば神表紙の4巻。
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- 発売日: 2002/01/01
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あと、『うる星やつら』のラストをリアルタイムで追えたかどうか(俺は後追い)は、ものすごい分岐点だと思う。33巻〜34巻、特に最終34巻はすごすぎ。