ビクトル・オルティスVSマルコス・レネ・マイダナ


私的には今のところ年間最高試合。エキサイトマッチでやってほしい。

Victor Ortiz vs Marcoc Maidana Rounds 1- 2

Victor Ortiz vs Marcoc Maidana Rounds 3- 6


6月後半のビッグマッチラッシュの中でも最も楽しみだった試合。クリチコVSヘイ以上に。

ビクトル・オルティス
http://www.boxrec.com/list_bouts.php?human_id=257314&cat=boxer
マルコス・レネ・マイダナ
http://www.boxrec.com/list_bouts.php?human_id=257790&cat=boxer


共に序盤KOが極めて多い即決型KOパンチャーで、スピードもテクもあるときた。しかもオルティスは実質無敗(反則負け1のみ)、マイダナはかのコテルニクへの王座挑戦を超接戦の末にスプリットで落とした1敗のみと、レコードも互いに譲らない質。

両者の試合をみた感じ、ガチンコの打ち合いならマイダナがKOで勝つだろうな、と予想。で、スピードとテクで勝るオルティスがディフェンシブにボックスすれば、判定までもつれると。


試合が始まってみると、まずオルティスの性能が想像以上で予想あっさり外れ。マイダナの攻撃に立ち向かいながら高速でボックスしてくれた。暴風雨のような攻撃を躱しながら要所でクリーンヒット入れる入れる。1Rに1度、2Rに2度ダウンを奪ってみせた。どれも素晴らしくテクニカル。1Rはラッシュをかけた後の下がりながらの右フック、2Rは効かされて詰められパンチを交換する中でサイドステップしての右フック、その後ラッシュをかけてまたショートの右フック。才能と修練の賜物という感じのクリーンなノックダウンシーンでした。ホームの観客盛り上がりまくり。これぞ金と熱を生むボクシングというところ。


対するマイダナも、コテルニク戦でも見せていた長所を存分に発揮して対抗。まず積極性。1Rにダウン取られた直後に、踏み込んでワンツーでダウン取り返すとはなあ。
次にスタミナとパワーパンチの連打。攻撃し始めると止まらないし、相手が止まれば即反撃。
続いてクレバーさ。この選手はイノシシのようなイメージに反して結構冷静ですし、加えて遠目でも自身の距離を持っています。2R終了時点の絶対的ピンチは、単に体力で乗り切ったわけではなさそう。近距離のパンチ交換では回転力と正確性で劣ることを自覚したのか、3R開始時は少し距離を離した上で攻撃を組み立てています。これがオルティスの攻勢を止め、マイダナ優位の距離での反撃を可能にしたのでは、と。
最後に柔らかさ。柔らかい上体からしなりの効いたパンチを打ち込める。しかも、ストレート系とフック系を組み合わせるから怖い。パワフルな上に攻撃に切れ目が無い。強いストレートやスウェーの後に高速で弧を描いて打ち込まれるフックが、もっともオルティスに脅威を与えていたように見えました。攻めていても守っていても一切気が抜けず、遠目から打ち込まれる強打をどうしても外しきれない。3R以降は流石のオルティスもじり貧でした。


他にも幾つかよいなあと思ったところを。
接近戦でクリンチが多かったものの、それが気にならなかったこと。相手を押さえてブレイクを待つのではなく、互いにそこから即攻撃に移ろうという過程でのクリンチなので、緊張感が途切れない。ホールディングも目立ちましたが。
そして両者の態度。素晴らしい1Rの終了直後に、互いに盛り上がってグローブタッチしてるのが最高でした。特にマイダナが、『初めて“敵”に会えた・・・いい試合をしよう』By 戸愚呂弟 From 幽遊白書 状態のようであり、『もっと遊ぼう』By 五島雅 From ZERO 状態でもあり。のれんに腕押しのテクニシャンを引き裂き損ねた感じのコテルニク戦と比べてはるかに生き生きしてました。オルティスがついていけずに脱落しちゃうあたりもZERO。試合終了後に健闘をたたえあう姿もキレイごとではなくただ当たり前に清々しい。


まさに拳闘士同士の闘いでした。
しかしこのマイダナはパッキャオと同じ階級。すぐ下にはバレロがいる。コテルニクもいる。さて・・・。
まあパッキャオは残念ながらまず無いとして、バレロとの試合をみてみたいです。さすがにバレロでもキツいかな。ただバレロは異様なスピードとリズムでピンポイントを狙えるし・・・ああ分からん。まあプレスコットがいやならマイダナもいやだろうな。これからどうすんだバレロは。