マヒルが消えた理由が突然わかった(『よふかしのうた』第163夜『夜が明けるよ』)

「少年誌で自殺を描くのはいかがなものか」という規範意識に基づく拒否感から、読むのをやめた。規範意識が薄れたので、読み直してみた。

 

キクはともかくマヒルまでが消えた理由がわからず、気になっていた。

 

単行本を持っていない15巻収録分から、うぇぶりで読み直し始めた。163夜に辿り着き、何度か前後の話を見直していて、突然わかった。

 

ヒルは吸血鬼になって、日光に焼かれて消えた。紛うことなき自殺だ。

 

「これは自殺だ」と直観したからこそ拒否感を抱いておきながら。初見時には読み取れなかった。

 

「コウ マヒル ごめん 俺やっぱりダメだった」というセリフの意味、あれはコウたちと一緒に生きることを選べなかった謝罪だ。

 

ヒルは生き続けられない人間だった。

 

他にも、キクがマヒルを騙して道連れにしたのでは、という疑いを抱いていた。それも誤りだった。勝ち逃げ、というのはマヒルが吸血鬼になれたということだから、マヒルは吸血鬼になれた。キクがポンポンとやっているのは「早く自分から離れて日陰に行きなさい」「ここにずっといてはダメ」という意思表示。

 

素直に読んでみると、あのシーンは美しい。

 

ネットでいくつかの分析記事を読んだ中で、星見キクがマヒルの過去に関係している=吸血鬼になったマヒルの弱点だったから消えた、という解釈に納得しかけながらも納得できなかった。わかってみるともっとシンプルだった。過去を思い出す前にマヒルは未来を選んでいたのだから。

 

単行本は来月買う。