レビュー

kashmir礼賛

kashmir単行本を大人買い。そもそもはょぅι゛ょ畑からの人と思われますが、私のようにその属性がないわけではないがそれほどでもない者でも物凄い勢いで楽しめます。個人的には、永野のりこの系譜を受け継ぐ貴重な人のように思えます。絵はともかく、ストー…

ジョン・フルシアンテ『トゥ・レコード・オンリー・ウォーター・フォー・テン・デイズ』

完成度では2003年の連作に対して譲るものの、歌心があり、メロディがよく、リズムもある、ということで最高。 どうしてこの人は、出しているもののどれもがこうまで全てすばらしいのだろう。 これだけの人が、10年前のドラッグ中毒による死の危険を潜り抜け…

作者の非ラノベ作品ホームラン第一号(桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』)

この作者さん、ラノベ以外の作品はこれまでポテンヒット続きという印象だった。そのため、ラノベ出身作家の中で寵児化しているのは、ぁぃぅぇぉパワーか、他がよほどダメなのか、と疑っていた。ようは『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』と『Gosick4』を読めな…

独り者の楽園(梨木香歩『家守綺譚』)

個人的現代最高作家の最新文庫落ち。戦前の琵琶湖畔?が舞台か。売れない独り者の物書きの綿貫征四郎は、幾ばくかの金銭を報酬として、溺死した旧友の実家の留守を預かることに。臨時講師のアルバイトも辞して、旧家で文筆業一本の生活に入った綿貫だが、庭…

理想の高校時代を夢想して妄想乙 (新田英雄(作)/高津ケイタ(画)/トレンドプロ(制作)『マンガでわかる物理[力学編]』)

古きよき学研まんがのまんが力を高めたような良品です。 ヒロインは、スポーツ万能だが勉強が苦手な、テニス部所属の女子高生、二ノ宮メグミ。物理のテストでテニスに関する問題が出たのだが、自分だけ間違えた答えを選択してしまう。その理由が分からず、部…

物理学徒とテロリズム(機本伸司『神様のパズル』)

女目当てで研究室を選ぶ人畜無害のダメ大学生である綿貫は、素粒子加速器の設計者にしてひきこもりの穂瑞沙羅華をゼミに連れ出す役を担う。綿貫は『宇宙はどうしてできたのか』という根源の謎を穂瑞に突きつけるが、そのせいで彼の卒業を左右するゼミのメイ…

テロリストであり、物理学徒にあらず(伊東乾『さよなら、サイレント・ネイビー 地下鉄に乗った同級生』)

オウム真理教による地下鉄サリン事件の実行犯となった豊田亨。東京大学で彼と共に学んだ仲である著者が、犯行前後の豊田の分析を通じて、再発防止を再度問いかける内容のノンフィクション。 あまり納得できる内容ではなかった。大量殺人事件の理由を、学問の…

グロ数学小説『Ωの晩餐』がベスト、他もよしの良短編集(平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』)

クールなタイトル・表紙に惹かれ、柳下毅一郎氏の推薦文『神です、神』に背中を押されて手にとってみたところ、えらく面白かった。後で知ったことだが、もともと都市伝説を題材にしたノンフィクション畑の人のようで、なるほどさかむけの如き不快感や不条理…