亀田の評価と今後


予想通り、ボクシングファンと一般人の評価は辛く、残った支持層は、あの試合をつまらないと思わず、若いみそらでプレッシャーに耐えてよくやっている云々と優しみ散布する生温い層。好き放題ハッタリカマしておいて平気でオヤジがと泣く試合後の姿にお似合いだ。そういう情緒をさしはさまない限り、あの試合のつまんなさは埋めらんないもんなあ。最高の状態なのに、ひたすら安全運転に徹するボクサーってどうなの。それも、「当てさせない」や「打たせずに打つ」という、200km/hで公道走っても事故らないぜ!(喩えです)というテクニカルな安全運転ならともかく、それ無理なんで、事故っても絶対に死なないように、いや、絶対に事故らないようにしようっと、という20km安全運転。これでは塩王者とも亀田さんとも呼びたくないぜ。ランダエタがまだ元気だった序盤は、なんだかわかんない華麗ステップを踏みつつアウトボクシングには失敗して上下にパンチをもらっていたじゃないか。それでも事故らかったのは鈍足安全運転の賜物であって、アウトボクシングの程度が高かったからじゃない。はよ行ってくれやってクラクション鳴らしますわ。とてもじゃないが、褒められた試合じゃない。後半の優勢はランダエタの失速によるものだし、諦めからかほとんど手も出さなくなった相手に、互いのパンチが死ぬ距離に体を密着させて倒す意思の感じられない手打ちパンチ連打でポイントを稼ぐしかない亀田の姿。何が何でも明白に勝たなければならなかった、というのは亀田の都合に過ぎないし、明白にも色々程度がある。ポンサクレックと内藤、世界と日本のフライ級トップを小馬鹿にした落とし前は全くついていない。小馬鹿にしたことが気に入らないのではない。俺はポンサクと内藤の友達でもなんでもないから、そんなことには腹は立たない。あの二人を小馬鹿にするのだからよほどのものなのだなと期待させておいて、試合のたびにがっかりさせられて、ポテンシャルへの期待までも否応なしに萎むから腹が立つのだドガア!!


手段の選ばなさと器用さは見せた亀田。しかし、彼のビッグマウスに実際のパフォーマンスが追いつく日の遠さを思うと、暗澹たる気持ちになる。俺だけかもしれないが、ボクシング好きなだけに、彼が有言実行の域に達するか、そうでなければ身の丈にあったしかるべき醜態をさらすまで、目を離しにくいのだ。我ながら悪趣味だとは思うが、偽らざる気持ちだ。それともこれからも、一般的な注目度が翳っていく中、試合のたびにこれまでと同じ宙吊り気分を味わうことになるのだろうか・・・。