WBCスーパーフライ級タイトルマッチ ○クリスチャン・ミハレス 12R判定3-0(119-110、118-111、116-112) ホルヘ・アルセ●


ミハレスがうまく、強かった。相手のパンチをスウェーでよけ、その直後にジャブとストレートを叩き込む抜群の距離感と長いリーチとハンドスピード。ワンパンチKOを量産するようなタイプではないが、入ってくる相手を止めるだけの力はあるパンチ。決定打を食いにくいポジショニングとステップ。そして、通常のアウトボクサーより優れ、敵手となるファイターに対してもアドバンテージとなるのが、スタミナと耐久力。これがあるおかげで、状況によっては近距離戦を選択でき、持ち前のハンドスピードと的確なコンビネーションで、距離を詰めてきたファイターを逆に突き放すことができる。おそらくそこが、川嶋にせよ、今回の相手であるアルセにせよ、誤算だったのでは。ファイターがアウトボクサーに近距離の打ち合いで遅れをとったら、いよいよポイント的に不利になり、あとは一発KOしかなくなる上に、たまにビッグパンチを当てても終わってくれないのだから。線の細さで強く見えないのだが、強い。解説の浜田氏はアルセの不調とサウスポー苦手ゆえの敗戦と見ていたが、スピードとリーチにあれだけ差があって、おまけにいいのが当たっても倒れてくれないとあっては、アルセでは何度やっても勝てないのでは。


それでも、名城、カスティーリョ、無如酢を向こうに回して階級最強とはまだ言いにくいのが、ミハレスミハレスたる所以か。