WBC世界ミニマム級タイトルマッチ ○イーグル京和 3-0(118-108、119-107、119-107)八重樫東●


イーグルの完勝。ダメージブローといえるパンチはもらっていないはず。やはり前の二戦に比べれば楽な相手といわざるを得ないとはいえ、完全復活を印象付けた。本人が言うように、マヨール戦では打ち合いに付き合ったのが失敗だったのだろう。今日は徹底して、打たせずに打つボクシングをやった。ワンツーを軸に、打ち終わりを狙わせないすばやいステップアウト。彼の言う美しいボクシングを見せられたといえるのではないだろうか。中盤のダーティーテクニックがなければ、だが。例の抱え込みと、左手でのプッシュ。それだけが残念。それでも、10Rのカウンターでダウンを取った際、ひじと頭が八重樫に当たりそうなところをスルッと避けた動きの美しさには目を奪われた。


八重樫は偶然のバッティングで5R以降顎を故障する不運があった*1。しかし、それまでも打ち終わりにカウンターを狙われて手が出ない状態であり、最後までイーグルのプレッシャーを跳ね返すことが出来なかった。率直に言って勝敗の帰趨には影響しなかっただろう。イーグルが11R以降は強く打つのを避けた様子すらあった。セコンドは止めるべきだ。動きの早さには非凡なものがあり、自分から攻める形を作ることでもっと伸びる人材だと思うだけになおさらだ。


追記:八重樫自身によれば、2Rのバッティングで右顎が外れて、それ以降は痛みで踏み込めなかったとのこと。残念。ただ、イーグルも露骨に頭から行っていたわけではなく、偶然というしかないのでは。また、2Rはたしかにバッティングもあるようだが軽めで顎ではなく額や鼻っ柱のようなのだが。顎についてはむしろ、イーグルがバッティングすれすれの距離で踏みとどまって強いフックを顎に入れているシーンが2回ほどある。


追記2:坂本・川嶋両氏の解説は良かったです。とくに川嶋。弟弟子のタイトルマッチだったが、イーグルの強さ、テクニックの解説が的確で、4R後の公開採点時にジャッジの評価が39-36で三者並んだときにも、その採点以外ありえないとはいえ、「僕も同じです」とはっきり言い切っていた。そして逆に、苦戦する八重樫に苦言を呈するところははっきり言っていた。言うまでもないことだろうが、やはり彼は好漢だ。坂本も「イーグルの伸びるパンチ」という安易な表現に走る実況にイーグルのステップインを指摘するなど、細かい技術の指摘がよかった。

*1:試合中の大橋陣営、および実況のアナウンスでそう言っていただけで、再三顎にクリーンヒットしていたイーグルのパンチによるものである可能性もある→試合後の八重樫の発言では2Rのバッティングからとのこと。残念。