WBCミニマム級タイトルマッチ ●イーグル・デーン・ジュンラパン 12R判定(114-115、113-115、112-117)オーレイドン・シスサマーチャイ○


あらためて、もったいない試合ですね。オーレイドンはよく動く優秀なアウトボクサーではありましたが、イーグルがなすすべなくアウトボックスされるほどのボクサーではない、と言うのが正直なところ。
どうしてあんなに単調だったのか。左ジャブが出ない。コンビネーションもない。距離をつぶして近距離の打ち合いに持ち込み、3発以上のコンビネーションで責めるべき相手のように思えましたが、せいぜいワンツー、ほとんど大降りの右だけ。中盤には右を読まれて打ち終わりを完全に狙われて、左カウンターでポイントを根こそぎ取られてしまいました。もったいない・・・。浜田さんが指摘してましたが、姿勢も高かったですね。トレホ戦と同様、これもイーグルの調子が悪いときの悪癖のようです。今回はサウスポー相手で見てしまったのでは、という分析でしたが。距離が長く打ち合ってくれないアウトボクサーが、少なくとも世界戦レベルでは初めてだった、というのも苦戦の一因のように思えます。


もう一つ挙げるなら、セコンドとの意思疎通でしょうか。イーグルが以前、『基本的に戦術は自分で判断する。闘っている自分が状況を一番よくわかっている』という内容のことをインタビューで語っていましたが、その自負が今回は悪い結果につながったように思えます。そうした状況で、セコンドもボディ打ちなどの指示を出されていたようですが、長続きせず右狙いに戻ってしまい、流れを変えるところまではいきませんでした。
これまで組んでいたタイ人のトレーナーと離れ、マヨール戦で効果的なアドバイスを送って中盤以降の逆転を呼び込んだという経験豊かな田中栄民トレーナーも帯同できない状況*1で、初体験のサウスポーのテクニシャンとやることになったのは、結果論ですが不運だったのかも。


終盤9、10Rはよかっただけに、あれがもう少し早く出ていればな、とも思いますが、逆転への一縷の望みも、11Rをオーレイドンに持っていかれてほぼ潰えました。


それでも、僕の似非採点では114-114でドローなんですが。前半互角、中盤2ポイントオーレイドン、後半2ポイントイーグルで。

公式採点では、勝負の分かれ目は中盤ですね。ラウンドごとの詳細な採点は分かりませんが、4Rまでで


イ オ
38-39
38-38
38-38


だったのが、8R終了時点では、


イ オ
75-78
74-78
75-78


この採点はイーグルに対して非常に厳しいです、三人がオーレイドンにほぼフルマーク、1ポイントしか失っていないというのは・・・。代わりにイーグルは10点を二人が1回ずつで、あとはすべて9点ですからね。極力振り分けるとはいえ、オーレイドン優勢と言っても下がりながらの浅いワンツーやカウンターが各2、3発程度のラウンドで、この差をつけられるのは厳しい。せめて平均2ポイント差なら理解できますが、3ポイント差ですから。5Rはイーグルに流れてもいいラウンドだと思うんですが、あれもオーレイドンのワンツーでマジョリティを持っていかれたのか。

それでも不当な採点とまでは言い難いところが、中盤のイーグルの悪さでした。


終盤は明白なラウンドを作ることも出来ただけに、中盤の中だるみが返す返すも悔やまれます。驚きは最終的に5ポイント差をつけたジャッジですね。差が広がっている。タイはやはり怖いですね。


P.S.それにしても、メイウェザーVSハットンは楽しみです。正直デラホーヤ戦については、デラホーヤを半引退と言う目で見ており、加えて全盛期の彼を知っているわけでもないので、いまひとつ盛り上がれませんでした。序盤のデラホーヤの頑張りには驚きましたが。
今度は違う。ハットンはコンスタンチン・チューに引導を渡した男にして、今もマイナータイトルとはいえ現役バリバリの無敗チャンプ。
メイウェザーの雑言も、彼は本物だからこっちまでかえって盛り上がります。あとは、ハットンのパワーがウェルターで通用するのか、というところですか。

*1:ボクレポさんの記事によると、携帯電話でセコンドに再三ボディとコンビネーションの指示を送られたようですが・・・