高倍率コンデジ Nikon COOLPIX A1000 本題はメーカー謹製スマホアプリによる位置情報付与について(NikonのSnapBridgeはかなり出来がいい)

なぜいまさらディスコンの高倍率コンデジを買ったのか

クロスバイクで持ち出せる軽くて望遠に強いカメラが欲しかった

野鳥撮影が趣味なのだが、近所の撮影ポイントが工事で立ち入り禁止になったり、クロスバイクに乗るようになったりで、サイクリングに持っていっても苦にならないサイズと重量の望遠コンデジを探すことに。

 

コンデジスマホに押されて世の中からどんどん消えている

しかしまあこのジャンルはもう斜陽を通り越してディスコンの嵐。スマホと直接競合する光学3~4倍のコンデジだけではなく、スマホにはないアドバンテージを持つはずの光学30倍~の高倍率コンデジも軒並み消えてたり、残っているモデルも発売から何年経ってるのという古株ばかり。残っているのはアウトドア系と、巨大ボディの高倍率デジカメ、あと比較的高画質な1インチセンサー系くらい。

 

とりあえず買ったけど画質はお察し

野鳥撮影ということでポップアップではないファインダーが欲しく、焦点距離は長いほどいい、という条件で、NikonCOOLPIX A1000を。これも去年ディスコン済みであり、売れ残っていたものを購入した次第。35㎜換算24-840mmの高倍率超望遠コンデジ。ファインダーがある分、330g。ポップアップファインダーを持つソニーの競合モデルDSC-HX99が242gに抑えているのに比べて少し重いものの、まあ許容範囲内。小さすぎても撮りにくいのよね…。

 

もう一つの目的 Nikonのカメラ連携用スマホアプリSnapBridgeを試したい

他社アプリの位置情報付与に嫌気がさしていた

まあ写り自体は、「これじゃそりゃスマホに駆逐されるよな…」という1/2.3型豆粒センサーの悲哀を再確認して終わりだったのだが、Nikonのデジカメを買ったのにはもう一つ理由があった。Nikonのカメラ連携用スマホアプリSnapBridgeを使ってみたかったのだ。どうもこのアプリによる位置情報記録が、今まで使ってきた他メーカーのアプリより出来がいいようだぞと。ちなみにマイクロフォーサーズのミラーレスカメラを使ってきたので、比較対象のアプリはオリンパス(2015年~2018年のアプリ)とパナソニック(2018年~のアプリ)だ。なおスマホiPhoneしか使ったことないです。

 

まあ位置情報なんていろんなスマホアプリで後付けできるのだけど、写真を大量に撮り散らかすのでそういう邪悪な追加作業はしたくない。したくないので、カメラとアプリの位置情報連動状況に気を遣うあまり、シャッターチャンスを逃す。もうこういう下らない輪廻から抜け出したいのです。なぜ気を遣わなければならないのか、オリンパスパナソニックの公式スマホアプリにおける位置情報連携の仕様を以下にまとめる。先に書いたように、最新モデルのものではないので注意。オリンパスに至っては事業売却済みだし。

 

他社アプリ① オリンパス OM Image Share (OI.Share)

まずオリンパスアプリは仕様が曲者で、撮影のたびに位置情報を写真に付与するのではなく、まずアプリ側で位置情報の記録開始→記録→記録終了、という一連の操作をしたうえで、記録した位置情報ログをカメラに送信して、複数の写真に一括して位置情報を付与する、という仕様だった。そうするとどういうトラブルが起きるかというと、

 

欠点① 位置情報記録の開始を忘れる

これはまだ自分のミスなので諦めがつく。諦めがつかないのは

 

欠点② 記録中にアプリが異常終了して、それまで記録していた位置情報が吹っ飛ぶ。

旅先で数時間撮影した後にこれが起こったときは悶絶しました。位置情報の精度ではなく、アプリの安定性に問題があった。なおこまめに記録を終了させろとかいう人間がアプリに合わせろ式の話は聞きたくない。

 

なので、パナソニックのカメラボディに買い替える前は位置情報の連携方式を調べた記憶がある。

他社アプリ② Panasonic Image App/LUMIX Sync

最初はよかった

途中でカメラアプリが代替わりしたけど、できることも速度もあまり変わらなかった、いやむしろ悪化した気がする。接続が遅くなったとか復帰しづらくなったとか。

 

パナソニックのアプリの場合は、カメラとアプリがBluetooth接続されて、カメラの画面に「GPS」表示が濃い白色で表示されていれば、写真を撮影するたびに位置情報が写真に付与される仕組みだ。これでカメラの画面に「GPS」と表示されてさえいれば、位置情報に気を使う必要はないんだ!と嬉しかった記憶がある。

 

欠点① GPS連携に時間がかかる(15秒)

しかし、使っていくうちに問題が出てきた。一つは、カメラの電源を入れてから「GPS」表示が出るまでのレスポンス。15秒かかる。スリープからの復帰でも同じようにかかる。

欠点② スリープからの復帰後には位置情報連携はまず切れたまま

なんならスリープ復帰では頻繁に位置情報連動の復帰に失敗する。もちろんこんなことではシャッターチャンスには間に合わないので、なるべく電源を切らないようになる。とはいえやはりバッテリー持ちとの兼ね合いで、さすがに5分10分ある程度の時間が経ったらスリープするように設定するので、たいていしばらく間をおいて突然シャッターチャンスがきた時には(野鳥はたいてい突然来る)GPSロスト状態になっている。

欠点③ 謎の第三のステータスがあるため、GPS連携が確立されてるのかわかりにくい

パナソニックの位置情報連携にはさらに残念なところがあって、連携のステータスがON(「GPS」表示)/OFF(非表示)の二つだけではなく、第三のステータスがあることなのだった。それは「GPS」表示が薄い白色の場合。これは「Bluetooth接続は確立しているが、GPS連携はできてない状態」あるいは「一度確立したGPS連携をロストした状態」のどちらかなんだろうけど、いずれにせよこの表示状態だと撮影時に位置情報が付与されない。炎天下の屋外で撮影しているときなど、GPS表示が濃いか薄いかなどなかなか気づかない。さんざん撮り散らかした後に「あっ薄い!やっしもーてぃん!」と凹むのが関の山。

欠点④ 関係ないけどWifi接続確立にも時間がかかる

かてて加えて、パナソニックWifi接続も遅い。外で撮った写真をスマホからうpするのにもいちいちWifi接続に1分かかってたら萎えます。なお野鳥撮影はとにかく高速連射で1日数千枚単位で大量に撮影するので、自動転送設定は選べない。

 

どっちもダメ

ということで、オリンパスの事後一括付与方式もダメなら、パナソニックのなんちゃってリアルタイム付与方式もダメ。他のカメラメーカーはどうなんだろなと。ソニーキヤノン富士フィルムはよくわからなかった。ただニコンはカメラの側に気になる設定があった。

 

ではSnapBridgeの位置情報連携はどうだったか

かなり良い

結論から先に言うと、SnapBridgeの位置情報連携はかなり良い。カメラ専業メーカーの意地を見る思いがする。さすがにこのためにフルサイズミラーレスに買い替えることはできないけど、パナソニックとOMDSにもぜひ見習ってほしい。

美点① スマホとカメラでBluetooth常時接続可

まず本体側の話になるけど、Nikonの新しめのカメラでは、カメラの電源を切ってもBluetooth接続を維持する設定ができるようになっている。

例えばCOOLPIX A1000だと「通信メニュー」→「Bluetooth」→「電源OFF中の通信」→「する」だ。

こういう設定があるということは、例えばカメラの電源を切ろうがスリープしようが、カメラは常にスマホBluetooth通信しているので、GPS連携を維持し続けてくれるのではと。マニュアルやニコンユーザーのブログをチラ見しまくった感じでも、できそうに見えた。ただ、カメラマニアで位置情報付与を気にしてる人、ほぼほぼいないんだよな。どこで撮った写真かはどうでもいいのかな。

 

まあもちろん常時接続する分、カメラとスマホのバッテリーは減り続けるのだが、最近のBluetoothはかなり省電力で動作するようになっている。スマホのバッテリー持ちに大きい影響があるとは思えないし(※影響には個人差があります)、カメラはバッテリーの複数持ちやモバイルバッテリーでカバーできる。バッテリーチャージャーが別売りで本体にUSB給電するモデルなので、説明書にできますよとは書いてないけどモバイルバッテリーからの給電もOKなんじゃなかろうか。実際できるのはできる。

 

でSnapBridgeを試してみたら、期待通り。SnapBridgeをスマホで起動しておけば、カメラからの初回接続には10秒ほどかかるものの、一度Bluetoothマークが転倒したならば、それからはスマホ側でアプリをバックグラウンドにしても、カメラの電源をOFFしてもBluetooth接続は維持されて、撮影のたびに位置情報が写真に付与される。今まで100枚くらいは撮影していると思うけど、位置情報付与に失敗したことはない。

 

美点② 常時接続状況がインジケーター点灯で一目瞭然

カメラの電源をOFFしてもスマホと通信していることを示すためだろう、電源ランプが黄色く点灯する。なおスマホ側でSnapBridgeを落とすと消灯する。

美点③ Wifi接続も速い

またSnapBridgeはWifi接続も12秒ほどと、かなり速い(Panasonic比)。そのうえ、スマホ側でフォアグラウンド起動してる限りはWifi接続を維持してくれる(バックグラウンドにするとBluetooth接続に切り替わる)。実にユーザーフレンドリーだ。

運用上の注意点

1点だけ。「1日の撮影を終えたらSnapBridgeを終了させること」

いかにBluetoothが省電力といっても、一晩中通信させれば、カメラのバッテリーは確実に切れる。例えばSnapBridgeを起動しっぱなしのまま寝たりすると、翌日以降いざカメラを使おうとしたときに、カメラのバッテリーが空になっていることに気づくのだ。このミスさえ避ければあとは何の問題もない。

 

パナとオリOMDSも頑張ってほしい

なお半年前くらいに店頭で確認したところ、たしかOMDS PENの新しめのカメラボディには、ニコンと同様に電源OFF時もBluetooth接続を維持するオプションがあった。ならOM-1あたりの高級モデルにもあるんじゃないかな。ただ連携アプリのOM Image Shareは、OM-1利用者のブログを読む限りでは、まだ位置情報は事後一括付与方式っぽいですね。楽しんで使ってる人にわざわざトラックバックでネガティブ情報をお届けするのはイヤなので引用はやめときますが。