WBCライトフライ級暫定タイトルマッチ ○前チャンピオン ワンディ・シンワンチャー 判定 3-0(114-113、116-111、116-111)挑戦者 同級9位 嘉陽宗嗣●


2chの実況スレで見た限りですが、7Rにダウンを奪われ、根性で粘ったものの内容的には完敗、といったところのようです。
結果は仕方が無いのですが、それ以外にも色々と萎えポイントの多い試合でした。事前から、

  • 挑戦者の世界挑戦資格に疑問符


これがまずありました。具志堅会長は亀田をクソミソに言ってましたが、同じように世界挑戦資格に疑問符が付く弟子を見切り発車的な世界挑戦に送り出している。僕は毎月欠かさずボクシング雑誌を見るが、試合生観戦経験は無いという腐ったミカンですが、嘉陽世界挑戦の話を聞いてまず思ったのが、「ん、誰?」(By ポンサク)でした。で、嘉陽の戦績を見てみると、これが日本を飛び越えてOPBFを獲っていることといい、タイ人相手の試合の多いことといい、実に亀田を髣髴とさせる。サミン・ツインジムなんて名前もあるでよ。一応OPBFを防衛してますが、相手のファーカノーン・シンドンタイって、キック兼業なんですかね・・・。日本では連敗中の選手だったようですが、なんでこんな噛ませみたいなのが挑戦者になっちゃうんだろうなあ。戦績だけ見れば、日本タイトル4度防衛中の増田信晃の方が世界挑戦に相応しいと思う。こっちはこっちで、防衛戦は微妙な判定が多いみたいではありますが。


相手のワンディは、階級屈指とはとても言えないまでも、百戦錬磨という形容は出来るキャリアの長い王者。どう観ても分が悪そうだな、というのが第一印象。正直言って、こういう勝ち目の薄い、というより、そもそも対世界戦の戦力査定すら出来ない状態での特攻記念挑戦は止めていただきたいところ。亀田の場合はまだしも、土台が怪しげながら築き上げた人気という需要があったけど、嘉陽にはそれすらない。TV放映はCSのどこかの局だったらしいですが・・・。G+ですらなかったし、いったいどこでやったんだろうという感じ。


で、師匠まずけりゃ、というわけでもないのでしょうが、

  • 嘉陽が試合前に王者との握手を拒否


礼儀正しく堂々とした会見であって欲しい、というおっさんくさい気持ちも無いではないのですが、実力が伴っていないと格好悪いだけなのにな。まあこれは若さもあるのでしょうが、師弟そろってやってることは亀田とおんなじじゃん、と白ける気持ちを抑えがたかった。さらにさらに、


萎える萎える。無理に落とさずギブアップした分、かえっていい状態で試合に望めたのでは、と、よく分からない上に意味の無いことを言いたくなってくる。減量失敗で王座剥奪された選手の、その試合の勝率ってどうなんでしょうね。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061009-00000004-dal-spo


この記事によれば、日本開催の世界戦での、体重超過による王座剥奪は4度あり、そのうち3度は挑戦者が勝ってベルトを巻いているとのこと。唯一の例外はあの怪物フレディ・ノーウッドなので、この記事を読んだときにはさすがに嘉陽有利かな、と思いました。やはり、王座防衛というモチベーションが失せるのは大きいだろうと。日本に限らず、あのパッキャオすらフライ級の王座剥奪時にKO負けしていたり、負けることの方が多いって印象があります。ただ、それは減量失敗の過程によって違ってくるはずで、下剤まで飲んでダメでした、なら当然ヘロヘロなんだろうけど、近年の米国のトップ選手で顕著だという「選手の健康が一番大事なので無理はさせません。王座はかからなくなるけど、それでも試合は客入るしね」というようなスタンスだと、まるで違いそう。無理な減量を避けた分、かえって体調がいいくらいなのでは。それにしても、6日の予備検診時の2ポンドをまるで落とせていないというのは、ファイトマネーの1300万もらえれば、もう引退でいいや、というような、防衛欲が怪しい状態だったのだろうか。7年越しでつかんだ2度目の世界王座を、そう簡単に手放すものかな、という疑問もあるのですが。分からん。


で、試合はといえば、自ら「相手が勝つでしょう」とのたまったという、防衛というモチベーションすら失っている選手が勝ってしまいました。嘉陽は試合後リングに土下座したそうだけど、厳しい試合だと思っていればそんなことしないよなあ。有利だと、勝てるはずだと思っていたということなのだろうか。だとしたらそれは慢心だと思うのだが・・・。減量失敗した選手に負けて、何もかもをグダグダにしてしまったこともショックだったのかもしれないが。


しかし、ホント何とかならんもんでしょうかこういう世界戦は。選手寿命が短いのと、格下相手にこけるリスクの分、選手が世界戦にはやる気持ちも分からないではないですが、ファンの側はへこみますね。OPBFには何も期待できないようだし、やっぱり、日本王座の格と給料を上げて、日本王座でのサバイバルマッチへの動機付けを強化した方がいいのでは。そういう強い挑戦者が世界を獲って始めて、長期防衛への道も見えてくるのでは・・・。そんな金は無い、と言われればそれまでなのですが。そんな一方で、クレイジー・キム木村登勇のように、世界挑戦の希望が薄いままに国内無敵を延々と証明し続ける中量級の国内チャンプがいるんだよなあ・・・。クレキムに至っては東洋でも無敵だが。