粟生が日本フェザー級王座戴冠


G+で放映。


3-0のユナニマスディスジョンでの勝利。チャンピオン梅津はスキルの差を埋めるために、低い体勢から頭と手のコンビネーションというよろしくない戦法を採ってきたが、粟生は相手の圧力を受け流しながら、中間距離での有効打でポイントを奪う。後半にははっきりとパンチを効かせた見せ場も何度か作り、文句なしの勝利。


しかしスキルで圧倒していながら、中間距離で連打を集めるところまではいかず、接近戦では互いにパンチを当て損なってクリンチ、という流れが最後まで続き、よく見て8-2、辛く見て6-4から7-3の相対的勝利という結果は、彼の評判からすると物足りないのもたしか。倒せないまでも、もっとはっきり優勢を印象付けてほしかった。いやがおうにもイメージが肥大化している上に、同級にリナレスがいるので。セレス小林氏が触れていたが、やはり打ち合いになったときの接近戦での的確性の向上が課題だろうか。


時間が余ったのか、現WBCミニマム級王者であるイーグル京和の来日2戦目、元IBF同級王者ニコ・トーマスとの試合(02年1月5日、イーグルの3RKO勝ち)が放映されてラッキー。トーマスはこの試合の時点でIBF王者時代から10余年を経過しており、イーグル戦前の10戦はタイトルマッチ以外全勝と、まだ現役世界レベルと言うに足る戦績ながら、イーグル戦以降は1分けを除いて全KO負けという目を覆わんばかりの劣化を見せている。さてこの試合のトーマスはどちらなのかと思えば、非力そうながらきびきびとした動きを見せ、イーグルにもいいパンチを再三入れる。しかしながら、それよりも目を奪うのがやはりイーグル。そもそも目の早いマニアには来日1戦目の時点で注目されていたらしいのが2chのログでも分かるが、それも頷けるフィジカルの規格外感。解説の浜田氏もまずパワーを賞賛している。加えて、バランスよく攻防両面でバリエーション豊かな彼のファイトスタイルがこの時点で既に見られるのも分かった。ちなみに、みょーな軌道で肩への負担が気になる右のオーバーハンドもこのころから打っている。決して悪くなさそうな元世界チャンプを相手に、2R後半にはほぼ一方的な展開に。これでは、世界奪取前の日本人との対戦が来日第一戦(1RKO)のみなのも頷ける。こんなのにジムのホープを当てられない。おそらく、日本でひょいっとチャンプになったから、ホール観戦で彼を知るマニア以外のファン(僕含む)は「ん、誰?」だったが、タイでキャリアを積んでいたらマヨールと同等のアジア圏の大物として話題になっていたのではないだろうか。
しかしながら、美しいファイトを目指しながら時々攻防両面でラフになる悪い癖もこのころからのようで、偶然の後頭部への打撃でダウンを奪う形になってしまった2Rはともかく、KOパンチはもろローブローですた。つかこのレフェリーダメだ。