WBC世界バンタム級王座 ○長谷川穂積(チャンピオン) vs ウィラポン・ナコンルアンプロモーション●(挑戦者・前チャンピオン)


すばらしい試合だったようで、見逃したのを激しく後悔。長谷川が試合の主導権を握る武器となったという左右のアッパーと、TKOとなった9Rのカウンターフックはニュースで見ることが出来ましたが、ウィラポンが「完敗」したということがその映像からも伺えて、さびしい気持ちになりました。近年、これだけ日本のボクシングファンの尊敬を集めたボクサーは、日本選手も含めて有数ではないでしょうか。

ムエタイ3階級制覇という英雄的キャリアを持ち、国際式ボクシングに転向後4戦目で世界チャンピオンに(世界歴代2位のスピード戴冠)。そのタイトルは、一昨日まではキャリア唯一だったKO負けで、防衛できずに手放す。が、その後16連勝で世界に再挑戦。圧倒的な強さで日本のスター辰吉を倒し戴冠し、その後14防衛。その中には、辰吉との再戦、次のスター西岡との四度の闘いも含まれ、僕も含めてこれでウィラポンの強さと美しさにほれてしまった人が多いようです。鍛え上げた綺麗な体してるんだよなあ。他にもノンタイトル戦を多くやっていて、長谷川に敗れるまでの約10年間で40戦以上負けなしというすさまじい実績。結局今のところ、世界戦以外では負けていない。どうか、数年後に噛ませ犬として日本に招聘されることだけはないように・・・。

また、こうした実績もさることながら、インタビューや生活から伺えるアスリートとしての精神性も素晴らしいようです。試合では時折ダーティなテクニックも披露するらしいですが、それは「うまい」と評される範囲内に収まっているようで。

それだけに、この名王者の挑戦を完璧に跳ね返した、長谷川はすごい。西岡との四戦後、ウィラポンが負けるのは日本以外の国で、彼が40歳近くなるころじゃないの、と考えてました。それを前回は僅差勝利でしたが、今回は完全に乗り越えた様子。えげつない音してたもんな、最後のパンチ。ああなぜ見なかったんだ。