川嶋 Vs ミハレス戦 追記


各ラウンドのジャッジの採点を見ると、スプリットではあれ、12R中2/3近い7Rで採点が三者一致している。ランダエタ Vs 亀田戦の4Rと比べると多く、三人のジャッジの意思がある程度一致した上での僅差だといえるのではないだろうか。川嶋が支配したのが2(2P)、6、9の3R、ミハレスが支配したのが1、3、4、11の4R。以上がポイント的に相殺。割れた残り5R中、3Rがミハレスに2人支持、2Rが川嶋に2人支持で、その1Rの差が勝敗を分けたことになる。手数重視の採点でいくとミハレスにもう2Rほど流れてもよさそうなものだが、2Rの川嶋のビッグパンチの好印象が、その後の彼の少ないながら強い有効打をよく印象付け、ミハレスのパンチの非力さを印象悪いものにした、ということだろうか。たら、ればを言っても仕方がないが、終盤次第では勝てた試合だったということか。ダウンのマイナスを続く2つのRでひっくり返して、終盤も手数だけは絶やさなかったミハレスを褒めるしかない。


最終ラウンドの川嶋の気迫は見事だった。3人のジャッジ全てに己の優勢を認めさせることが出来ていたら、逆転だったのだが、その近くには行っていたと思う。ただ、一歩足りなかった。


川嶋選手は現役引退を表明したとのこと。彼の試合はテレビで何度か見たが、やはり徳山昌守を1RKOしたシーンがダントツで印象に残っている。防衛も2度果たし、暫定とはいえ再戴冠まであと一歩だったのだ。もう一度、お疲れ様でした。


こうなると、やはり気になるのが正規王者である徳山の出方だ。暫定王者誕生を受けての「中途半端な人間に明け渡したくはない」との発言は、言葉通りに取ると暫定王者に対する侮辱であり、どうかと思う部分もあるが、統一戦に向けたモチベーションの高まりであるなら、喜ばしいことかもしれない。徳山のこの暫定王座決定戦に対する認識は「自分の指名試合消化の期限を待たずして強行されたものであり有名無実だ」という冷めたものだったはずだから。やはり、川嶋との四戦目よりはモチベーションも上がるのではないだろうか。また、「ライバルを引退に追い込んだ相手を倒す」というのは、こう言ってしまうと浪花節の演出過剰が過ぎるかもしれないが、現在の徳山に望める最高レベルの動機付けではないだろうか。


とはいえ、ミハレスはここ数年無敗の選手とはいえあの決定力不足では、徳山の引退を左右する試合の相手としては役者不足かもしれない。おまけに、ミハレスはアルセとのタイトルマッチがやりたいらしい。筋から言えば王座統一戦が先だろうが、ポンサクが正規王者に君臨し続けているフライ級で暫定王座を防衛し続けた前科のあるアルセが絡むとなると・・・。