久保田早紀『ナルシス』


自分的な隠れた名曲2曲について。ネットで見てみると、大して隠れてもいなかったが。


まずは、久保田早紀の1stアルバム『夢がたり』に収録の『ナルシス』。有名なミリオンセラーヒット『異邦人』が収録されているアルバムなのだが、世間的にはこの曲だけの一発屋としての印象が強い人なのだろう。あとは、その美声と可憐な容姿か。先日YouTubeでテレビ出演時の映像を観たところ、小柄で少し丸いが、それでもかなりの美女だった。

今は手放してしまった4枚目までのアルバムは、決して悪いものではなかったが、『異邦人』からの脱却を焦ったのであろう少々無理のあるポップ感や、その逆の二番煎じめいたオリエンタル風味など、『異邦人』を悪い方向に引きずってしまった感があった。未聴だが、5枚目から7枚目までのアルバムはよいらしい。


そこで『夢がたり』なのだが、決して『異邦人』だけのアルバムではない。むしろ、今聴くとあのイントロなどにオーバープロデュースの感がある『異邦人』より、シンプルなアレンジが施されたその他の楽曲の方が聴けたりする。


中でもよいのがこの『ナルシス』。歌謡曲とは一線を画したクラシカルなメロディーに載せて、家の薄暗い階段に掛けられた少年の絵に恋をする孤独な少女の心情が綴られる小品で、歌詞が素晴らしい。ご本人の作詞ならさらに燃え上がるところなのだが。

今はもうナルシス お前よりも年上ね 絵のように美しい 恋などないと知ってる
けれども階段の 闇を見上げるたび めまいのように あのときめきよみがえるの
久保田早紀『ナルシス』(作詞:山川啓介))


そう。年を喰えばどうにかなるものではないのだ。


追記:せっかくなので、YouTubeの『異邦人』TV映像を。一つ目は後年の情報番組での紹介なので、尺は短いが、アップあり。あと伊集院光はやっぱ冴えてる。



尺だとこっち。



夢がたり

夢がたり